自然治癒力の尊重って何だろう？
文明の発展にともない社会や人の環境（生活環境，人間環境，職場環境など）が大きな意味をもつ内因性疾患，神経症，心身症，アレルギー性の疾患の増加．
加えて．．
心理的なストレスにおける過剰な対処量には蓄積疲労といったきわめて
複雑なバランス状態に陥ることを以前のブログにてご説明させて頂きました．
一方では・・
心理的ストレスなどは，中枢神経系を介して内分泌系を動かし，副腎皮質ホルモンの分泌を促進することで，免疫系の機能を抑制することが知られています．
ヒトに影響を及ぼしうる細菌叢（マイクロバイオーム すごい数です）
ヒトあるいは細菌に感染して，ヒトに影響を及ぼしうるウイルス（バイオーム）
などは，ヒトの細胞数（約30兆）をはるかに超えるそうです．
新型コロナなど・・
感染症などの外因性の病因に由来する疾患など多因子の病因が交錯するため
免疫力，自律神経機能あるいは内分泌機能などの全身の生体機能を制御する
機構や個人～細胞レベル（階層）の現象の統合的な理解と解釈は重要と考えます．
（東洋医療的解釈）
東洋医学(一部)における五臓の腎は視床下部―下垂体－副腎皮質系と捉え，免疫バランスの調整や維持に重要な役割とされ，亢進した免疫系を低下抑制する働きがあると考えられているようです．
また・・
鍼灸技術は生体の反応を強制的に操作することを意図するものではなく，生体の主体性（治癒力）にまかせるといった，素朴な方法が考えられ正気（元気，真気）を扶（たす）ける自然治癒力の尊重といった治療観があります．
自然治癒力の尊重とは・・？
先人（板倉武博士：治療学概論 S22-24年）のお知恵を授かり，筆者（東洋医療）なりに解釈をさせて頂くならば．．
自然に干渉を加える人工（施術，治療，技術？）は，如何に努力して行ったとしても自然の法に適（かなう≒適応？）わなければならないという考え方です．
ゆえに・・
◉正気（元気，真気）が虚（≒不足）しているのを補う支援（≒不扶：ふせい？）
◉正気が充実している状態であっても邪気（≒過剰となる有害事象？）があれば瀉(しゃ：取り除く)することへの支援（≒不扶：ふせい）など．素朴な治療システムの特徴があると考えます．
ただし・・未病，病的な状態では．．
生体に内在する治癒力の発動が明確に発現できるように自然治癒力の尊重をふまえ，個人～細胞レベルの現象の統合的な理解への解釈から，鍼灸技術の援助を行うことが重要と考えます．
自然療法＆養生LAB 平田康朗
2024年11月05日 22:57
